先天性白内障 先天性白内障
 

先天性白内障

先天性白内障は、出生時または出生後早期から存在する水晶体の混濁です。

先天性白内障 原因と症状

先天性白内障先天性白内障とは、出生時または出生直後から存在する痛みを伴わない水晶体の混濁のことです。
先天白内障とは、先天的な素因によって生まれつき水晶体が混濁する病気です。成長とともに現れ、進行するものもあり、その場合は発達白内障ともいわれます。原因として常染色体優性遺伝、染色体異常、子宮内感染(風疹、トキソプラズマ、サイトメガロウイルスなど)のほか、さまざまな全身疾患・症候群に伴って起こるものもあります。
新生児、乳幼児、学吸期までに発症する白内障をいいます。
原因は遺伝によるものと、母親が妊娠中にかかった風疹(妊娠3ヵ月)によるものとが知られています。妊妊娠中に感染した場合は、全白内障(水晶体全体が白く濁る)になるといわれていますが、風疹ワクチンの普及で少なくなりました。

先天性白内障の予防

早期発見と手術を行わないと、視力の発達途上の乳幼児期に適切な刺激が遮断されてしまうために高度の弱視が起こって治らなくなるものに進む場合があります。乳児期は視性刺激遮断に対する感受性がきわめて高いので、生まれた直後から高度の白内障がある場合には、両眼性では生後10 週、片眼性では生後6 週までに手術を行って、眼鏡やコンタクトレンズを装着し、健眼遮閉(片眼性の場合に良い方の眼をアイパッチで隠して悪い眼の方を使わせる訓練)を開始すると、最良の視力が発達します。

先天性白内障の治療

先天白内障の形態と混濁の程度、合併症の有無を診断し、早急に手術を行います。
水晶体のごく軽い濁りは誰でも持って生まれてきます。これは線維細胞の発育不良による濁りで、老人性白内障の新陳代謝異常で起こる濁りとは違い、先天性白内障と診断されるような白内障でも、進行するものはまれです。
 ただ、中には急激に濁りがひどくなる場合もあり、早急に手術しなければなりません。
先天性白内障で全白内障の場合は、生後なるべく早い時期に、できれば2~3週間以内、遅くとも2ヵ月以内には手術が必要です。不完全白内障の場合は、様子を見ますが、先天性白内障の手術で問題になるのは、手術そのものではなく、術後の視力の矯正となります。

加齢性白内障の手術

手術による混濁した水晶体の除去。眼内レンズ挿入、コンタクトレンズ、眼鏡による屈折矯正。視能訓練による視力発達促進。
乳児に対する手術は、小眼球などの合併症がある場合には、緑内障などの重篤な術後合併症を防ぐため、通常より繊細な手術と成ります。
1~2歳以降に進行した先天白内障に対する手術は、検査を充分行い合併症のリスク判断のもとにご家族とご相談のうえ眼内レンズ挿入術を行います。しかし目の成長によって挿入したレンズの度数が合わなくなることや合併症や再手術の頻度が高いこと、長期的な安全性が確立していないなどの問題がある事を理解していただく事も重要な点と成ります。
術後には必ず定期検査が必要であり、視力を発達させるために眼鏡やコンタクトレンズを使った定期検査が必要。良い視力を獲得するためには、視覚刺激に対する感受性の高い0~2歳の弱視治療が最も肝心であり、視力が順調に伸びて年長になっても、後発白内障、緑内障、網膜剥離、斜視などの合併症が出ていないかどうか、長期にわたって経過を診察する必要があります。

山田眼科